まとめ
まとまらない完結編
アートは楽しめる
『インビンシブル・アイアンマン:ザ・サーチ・フォー・トニー・スターク』 ©MARVEL ©Shogakukan-Shueisha Productions
こんちは!
サンドです。
今回は、シリーズ完結作『インビンシブル・アイアンマン:ザ・サーチ・フォー・トニー・スターク』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!

僕のプロフィールはこちらの記事で
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社 | 小学館集英社プロダクション |
ライター | ブライアン・マイケル・ベンディス |
アーティスト | ステファノ・カセッリ アレックス・マリーブ |
収録タイトル |
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あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式サイトからの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート2/リリの選択』の結末には触れています。
昏睡状態だったはずのトニー・スタークが、突如として行方不明になった。
アイアンハートことリリ・ウィリアムズと仲間たちは、総力を挙げてトニーの捜索を開始する。
その一方で、スターク・インダストリーズの乗っ取りを企てる一派も動き出していた。混乱を極める状況のなか、アイアンマンの後継者として名乗りを挙げたのは……
引用元:小プロ作品ページ
マーベル・ユニバースの超大物ヴィラン、ドクター・ドゥームだった!?
アイアンマンを巡る壮大な物語は、クライマックスに向けて加速する!
どんな作品なのか
本作『インビンシブル・アイアンマン:ザ・サーチ・フォー・トニー・スターク』は、オンゴーイングシリーズ『Invincible Iron Man』の593~600話をまとめたものです。
話数のカウントが異なりますが、『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート2/リリの選択』から直結する作品ですので、本作から読み始めないようご注意を!
アメコミあるあるですが、作品がVol.2以降で展開していても、通算でVol.1のカウントが100話など区切りに近づくと、Vol.1のカウントに戻ることがあります。
今回は直前まで『Invincible Iron Man』Vol.4が展開していましたが、Vol.4の12話=Vol.1の593話ということになります。
ややこしいですよね…。
また、本作はライターのブライアン・マイケル・ベンディスが、『インビンシブル・アイアンマン:リブート』から紡いできた物語の完結編でもあります。
前作のラストで、トニー・スタークがとった行動を受けて物語は始まります。
『インビンシブル・アイアンマン:リブート』にて登場した、あの人物も本格的に動き出してきます。
実は、『Invincible Iron Man』Vol.4と同時期に展開していた『Infamous Iron Man』で、あの人物のその後が描かれていました。
こちらもベンディスがライターで、未邦訳ですが本作で合流する形です。
リリ・ウィリアムズやメリー・ジェーン・ワトソンなど前作で登場したキャラも、引き続き活躍します。
また、ベンディスがこれまで携わってきた作品のキャラも登場するので、過去作を読んでいると「おっ!」となる箇所も。
アーティストはステファノ・カセッリが継続。
また、『Infamous Iron Man』のアレックス・マリーブも参加します。
マリーブは『ニューアベンジャーズ:レボリューション』でも1話だけアーティストを務めていましたが、ベンディスとのタッグが多いようです。
『Invincible Iron Man』#594 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作前に読むべき邦訳アメコミ
先ほども述べましたが、本作はシリーズの完結作なので、一通り読んでからをお勧めします。
下記がシリーズのリストです。
- 『インビンシブル・アイアンマン:リブート』
- 『インビンシブル・アイアンマン:ウォーマシン』
- 『シビル・ウォーⅡ』
- 『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』
- 『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート2/リリの選択』
これらは、すべてブライアン・マイケル・ベンディスがライターを務めています。
「シビル・ウォーⅡも読んどいた方がいいの?」
と思う方もいるかもしれません。
『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』を読むにあたっては、そこまで重要視していませんでした。
ただ、本作を読むにあたっては、読んでおくことをお勧めします。
解説書に記載はありますが…。
作品としても結構面白いので、ぜひチェックを!
過去作の感想はこれらの記事に掲載しています。
作品の評価・感想
本作の感想
いや、話まとまってないけど!?
え、これで本当に完結??
前半は物語のペースが遅かったです。
リリ、トニー、MJなど場面が分かれて話が進んでいくのですが、それぞれが遅いです。
無駄に引き延ばしているようにも感じました。
その割には、後半で新たなキャラクターを投入してきて、なぜか物語を広げにかかります。
そして広げた要素をほったらかしたまま、物語は終わります…。
次のライターが描くアイアンマンへの橋渡し的な感じなのでしょうか?
だとしても、中途半端にも程があります。
残念ながら微妙な脚本でした。
ステファノ・カセッリのアートは、やはり表情豊かで安定のクオリティです。
アレックス・マリーブは、ざっくりとした線でなんとも味のあるアートを描いてくれます。
カラーも自分で塗るので、雰囲気に統一感がありますね。
また、600話は記念号でもあるため、ページごとに様々なアーティストが参加しています。
『インビンシブル・アイアンマン:ウォーマシン』のマイク・デオダード。
『ニューアベンジャーズ:レボリューション』のレイニル・ユー。
『アベンジャーズ&X-MEN:アクシス』のジム・チェン。
『マイティ・アベンジャーズ:ベノム・ボム』のマーク・バグリーなどなど。
アート面は非常にバラエティに富んでいるので、自分のお気に入りのアーティストを見つけられるかもしれません!
『Invincible Iron Man』#593 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
シリーズの総評
ここからは、ブライアン・マイケル・ベンディスが担当したアイアンマンシリーズの総評になります。
『インビンシブル・アイアンマン:リブート』~本作までのネタバレ全開なので、読み終えてからの閲覧をお勧めします。
思いの丈をつづっているので、長くなります笑。
散らかしっぱなし。
もしかしたら未邦訳の『Infamous Iron Man』の方でいくつか解決した要素もあるのかもしれませんが、可能性は低そうです。
あくまで邦訳されたもののみを読んだ感想になります。
まず、マダムマスクは何のために魔道具を集めていたのか。
なぜ忍者に追われていたのか、なぜ悪魔にとりつかれていたのか。
スタークタワーから何を盗んだのか。
これらの説明が全然ないままでした。
また、テクノ・ゴーレム/トモエ率いる忍者集団も、結局何をしたかったのかわからぬままでした。
日本を食い物にしてきた組織を狩ると言っていましたが、そんな動きもなかったですし。
トモエは過去や動機などの掘り下げもなく、非常に薄っぺらいヴィランでした。
あの人物(ドクター・ドゥーム)も、なにをきっかけに改心したのか不明です。
ここは『Infamous Iron Man』で語られていたかもしれませんが…。
本作ラストで、「動機は誰にもわからない」と書かれていました。
ここを余白にしても、特に物語に深みが出るわけでもないんですが…。
トニーの本当の父親も、以前の作品で語られていたようですが、本作で登場して何をしたかったのか不明。
レオナルド・ダ・ヴィンチの新組織もどうなるか不明。
この2点は、本作のラストでAIトニーに「どうなる?」と言わせていましたが、自覚あるならまとめてくれよと。
ブライアン・マイケル・ベンディスは、ニューアベンジャーズシリーズを6年にもわたって見事に統括していました。
直近の『シビル・ウォーⅡ』も、とても面白かったです。
アイアンマンシリーズは2年半ほどなのに、なぜここまで、まとまりのない物語になってしまったのか…。
期待していただけに、非常に残念です。
本作後に読むべき邦訳アメコミ
完結編なので、特にないです。
アイアンマンのその後の活躍を見たい方は、『マーベル:レガシー』で読むことができます。
まとめ
GOOD
・様々なアーティストの絵を楽しめる
BAD
・まとまりのない脚本
なんとも残念なシリーズとなってしまいました…。
僕個人の感想なので皆さんは、また違った視点で本作を楽しめるかもしれません。
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは、今回はこのあたりで。
ありがとうございました!
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