マーベルの迷走が垣間見える
初心者には非推奨
『スパイダーマン:クローン・サーガ』 ©MARVEL ©Shogakukan-Shueisha Productions
こんちは!
サンドです。
今回は、スパイダーマン作品の中でも話題性が高く、賛否の分かれる『スパイダーマン:クローン・サーガ』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!
僕のプロフィールはこちらの記事で
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社 | 小学館集英社プロダクション |
ライター |
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アーティスト |
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収録タイトル |
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あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式からの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
※前作『スパイダーマン:クローン・サーガ・オリジナル』のネタバレを含みます
90年代に発表され、今なお語り継がれるスパイダーマンの大長編。
その重要エピソードとダイジェストで構成した、日本独自編集版!スパイダーマンの宿敵ジャッカル(マイルス・ウォーレン)によって生み出されたピーター・パーカーのクローンは、己の存在意義に苦悩していた。
自分が持っている記憶や人格は、すべてピーター・パーカーのものであり、自分は何者でもなく、存在すらしない人間である、という事実を突きつけられたからだ。
自暴自棄になった彼は、自らの命を終わらせるための旅に出るが……!?90年代に賛否両論を巻き起こし、今なお伝説として語り継がれる問題作『クローン・サーガ』。その日本語版が満を持して登場。
引用元:小プロ作品ページ
これを読まずして、スパイダーマンを語ることなかれ!
どんな作品なのか
本作『スパイダーマン:クローン・サーガ』は、90年代のイベントであるクローン・サーガの作品をまとめたものです。
初めに述べておきますが、初心者の方には全くオススメできない作品です!
クローン・サーガは1994年~1996年の約2年間にわたって展開されたイベントで、『スパイダーマン:クローン・サーガ・オリジナル』の続編にあたります(ストーリーが直結しているわけではないですが)。
前作にて死んだと思われていたピーター・パーカーのクローンが、実は生きていたというアイデアが全ての始まりです。
前作から20年もたっているので、完全なる後付設定ですが笑。
本作では、そのクローンがベン・ライリーを名乗るに至った作品を皮切りに、2人のスパイダーマンの激動の物語が展開されます。
『Spider-Man:The Lost Years』 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
クローン・サーガはTPBにすると実に11冊にもなりますが、それを1冊にまとめてしまうのだから、なんという荒療治!
460ページ超えの大ボリュームです。
本作の構成としては、作品→次の作品までのあらすじ→作品の繰り返しになっています。
具体的に例えますと、1話を読む→収録されていない2~4話のあらすじを読む→5話を読むといった流れです。
収録タイトルは全部で13話ですが、クローン・サーガの全体像を掴める構成にはなっています。
物語を“楽しむ”というよりは、“知る”という意味合いが強い作品です。
スパイダーマンの歴史においても重要な作品ではあるので、自分の目で物語の詳細を確かめたい人にはオススメできます。
本書のあらすじとは別で、解説書も付属します。
解説書1ページ目の「作品解説」では、本作のストーリーの全体像がネタバレ含めて書かれているので、このページは本作を読み終わってから目を通すことをおすすめします。
2年間のシリーズで、様々なライターとアーティストが参加しています。
スパイダーマン作品ではお馴染みのジョン・ロミータ.Jrも、本作で2作品を手掛けています。
本作前に読むべき邦訳アメコミ
『スパイダーマン:クローン・サーガ・オリジナル』は必読です。
この作品でジャッカルが、ピーター・パーカーのクローンを造ったことが全ての始まりです。
ジャッカルの正体や、いかにしてクローンの研究に手を出したのかが語られます。
本作の楽しみや理解度が倍増すること間違いなしです!
収録話は、『The Amazing Spider-Man』の139~151話。
ライターはジェリー・コンウェイで、アーティストはロス・アンドルー。
こちらの記事で詳しい解説や感想を書いています。
作品の評価・感想
読みづらい!!
前述した本作の構成ですが、所々順番が逆になっている箇所があります。
5話を読む→2~4話のあらすじを読むみたいな。
なぜこの順序にしたんだ…。
特に前半部分の時系列はかなり掴みづらいです。
細かいですが、時系列順になっていない箇所を時系列順に正すと下記のようになります。
- 65ページのあらすじ→『The Amazing Spider-Man』#398→『The Spectacular Spider-Man』#221→66ページのあらすじ
- 327ページのあらすじ→352、353ページのあらすじ→『Spider-Man』#69→『The Sensational Spider-Man』#6
実際に読む際の参考になれば幸いです。
内容に関しては、どんでん返しというより後付設定という印象の方が強いストーリーでした。
なぜこんな一貫性のないストーリーになっているのかは、解説書の「作品解説」に詳しいですが、社内体制のゴタゴタがあったようです笑。
それでも面白い作品もあります!
J.M.デマティスの『Spider-Man:The Lost Years』#0では、ピーター・パーカーと自分は違うのだというベン・ライリーの葛藤がうまく描かれていました。
『The Sensational Spider-Man』#0は、新シリーズのスタートで読みやすく、キャラクター間のドラマにも重きが置かれていました。
ベンの人柄が描かれていたのもグッド。
ライターのダン・ジャーゲンスはアートも担当しています。
ジョン・ロミータ.Jrのような、太くてざっくりとした線が特徴的です。
『The Sensational Spider-Man』#0 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作後に読むべき邦訳アメコミ
クローン・サーガはこの1冊でまとまっているので、本作後に読むべき作品は特にないです。
まとめ:スパイダーマン:クローン・サーガの総評
GOOD
・重要な作品が厳選してある
・様々なアートを楽しめる
BAD
・後付設定感
・統率のとれていないストーリー
RECOMMEND
・スパイダーマンの歴史を知りたい人
・前作を読んだ人
非常にボリューミーでありながら、読みづらい作品でもありました。
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは、今回はこのあたりで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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