X-MENの読み始めにもオススメ
ストーリー、アート共に高品質
『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』 ©MARVEL ©Shogakukan-Shueisha Productions
こんちは!
サンドです。
今回は、X-MENの歴史でも超重要な作品『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!
僕のプロフィールはこちらの記事で。
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社:小学館集英社プロダクション
ライター:ジョナサン・ヒックマン
アーティスト:ペペ・ララス、R.B.シルバ
収録タイトル
- 『House of X』#1(2019年9月)
- 『Powers of X』#1(2019年9月)
- 『House of X』#2(2019年10月)
- 『Powers of X』#2(2019年10月)
- 『House of X』#3(2019年10月)
- 『Powers of X』#3(2019年10月)
- 『House of X』#4(2019年10月)
- 『Powers of X』#4(2019年10月)
- 『House of X』#5(2019年11月)
- 『Powers of X』#5(2019年11月)
- 『House of X』#6(2019年12月)
- 『Powers of X』#6(2019年12月)
あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式サイトからの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
※何が起きているかわからない状況を楽しむために、飛ばすことをお勧めします。
前の人生を記憶したまま、同じ人生をやり直すことのできる少女、モイラ。
引用元:小プロ作品ページ
彼女が自分の能力、そして自分がミュータントであることを知った時、世界は大きく変化し始める……。
何度やり直そうと、人類によって滅ぼされてしまうミュータントの生存の道を探るべく、モイラの終わりなき旅路が始まる。
100年、1000年後の未来で機械や新人類との戦いを乗り越えた先に見つかる、生存のための真実とは?
X-MENをはじめとしたミュータントたちの運命を、過去と現在と未来、いくつもの時間軸から語り継ぐ、マーベル史上最大規模のSF作品が日本上陸!
どんな作品なのか
本作『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』は『House of X』と『Powers of X』2つのリミテッドシリーズをまとめたものです。
まずは豪華な仕様を紹介していきます。
なんとケースに収納されています!
中身はこんな感じです。
左が本誌で、右が解説冊子です。
本誌は表紙、背表紙、裏表紙が1枚のアートとなっています。
解説冊子は24ページものボリュームがあります。
リーフ12話分の分厚さは鈍器ですね。
440ページもあります。
これだけ豪華な仕様になっているということは、それだけ重要な作品ということです!
X-MENの物語は1963年の『X-Men』から始まり、その当初から人類が抱くミュータントへの恐怖心や迫害といった社会的問題も1つのテーマとなっているシリーズです。
そんなX-MENシリーズ60年の歴史においても、本作はかなり重要なストーリーとなっています。
こう言うと本作を読むためのハードルは上がってしまいますが、本作からX-MENシリーズを読み始めても問題なしです(詳細は後述)!
本作は、これから始まる新たなX-MENシリーズの序章でもあるので。
チャールズ・エグゼビアが人類にあるメッセージを送り、各国の大使がミュータントの施設に集まるところからストーリーが始まります。
X-MENではお馴染みのサイクロップスやストーム、マグニートーやミスティークらを始め、様々なミュータントが登場します。
ライターは、Marvel Now!/マーベル・ナウ期にアベンジャーズのストーリーを『シークレット・ウォーズ』まで導いた、あのジョナサン・ヒックマンです!
これは期待しかないですね。
アーティストは『House of X』をペペ・ララスが、『Powers of X』をR.B.シルバが務めます。
表紙のアートはマーク・ブルックスによるものです。
『House of X』#3 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作前に読むべき邦訳アメコミ
特に事前に読んでおく作品はないです。
ただ、キャラクターや世界観を知るためにX-MENの映画は全て観ておいた方がいいです。
映画の順番はこちらの記事で。
「シリーズの集大成的な作品じゃないの?」
これだけ注目度が高いと、そう身構えてしまう方もいると思います。
そんなことはないのでご安心を!
僕はこれまで邦訳されたX-MEN作品を20冊以上読んできました。
70年代の『X-MEN:アンキャニィ・ジェネシス』~『X-MEN:デイズ・オブ・フューチャーパスト』。
『アストニッシングX-MEN:ギフテッド』や『X-MEN/アベンジャーズ:ハウス・オブ・M』後のメサイア3部作『X-MEN:メサイア・コンプレックス』、『X-フォース/ケーブル:メサイア・ウォー』、『X-MEN:セカンド・カミング』を経ての『AVX:アベンジャーズ VS X-MEN』などなど。
そんな僕が言いますが、これらのストーリーを知っていなくとも本作は十二分に楽しめます!
これまでのストーリーと直結しているわけではないですし、知っている人ほど楽しめる作りでもないです。
感想の部分で述べますが、本作の面白さはそういうところではないんですわ。
また、解説冊子で非常に丁寧に直近のX-MENのストーリーを振り返ってくれています。
その解説にですら、これらを全部読む必要はないと書いてあります笑。
もちろんページごとのわからない箇所は、解説で解決してくれます。
なのでX-MENの原作を読んだことがない人でも、本作から読み始めるという選択肢は全然アリです!
作品の評価・感想
凄かった…!
他のアメコミとは世界観が一線を画していますわ。
何が起きているかわからないまま物語が進んでいく感じは、ジョナサン・ヒックマンの十八番な気がします。
答えを知りたくてどんどん読み進めてしまいます。
途中途中で単語や文化を解説する文字だけのページがあり、世界観を丁寧に作り上げているのがわかります。
全部をコミックで説明するにはページが足りないのでしょう笑。
X-MENはミュータントという1つの種族を扱う分、登場キャラクターが多くなって物語が散漫してしまうこともあります。
しかし、本作は活躍させるキャラクターを絞っていることで、テンポよく物語を追いかけられます。
これはジョナサン・ヒックマンのアベンジャーズを読んでいても感じましたが、彼は既にある素材を最大限に活かして最高のストーリーを作ってくれます。
必要以上に新キャラを出さず、既存のキャラに新たな要素も盛り込みながら物語が展開していきます。
本作だとマスターモールドやニムロッドがそれに当たるかなと。
大胆な後付け設定を加えつつも、これまでの歴史を崩さない構成も見事でした。
リーフ12冊分のボリュームは伊達じゃなく、物語の密度も濃いので読了感がものすごいです。
強いて欠点を挙げるのであれば、ドラマ性が不足しているところですかね。
メインキャラの心境や葛藤などが描かれるとなおグッドでしたが、ページが足りないのも事実です。
ペペ・ララスとR.B.シルバのアートはどちらもクオリティ高め。
特にペペ・ララスは、僕のお気に入りアーティスト認定です笑。
輪郭線を太目に引き、顔や服のシワを細い線を重ねて描いていますね。
アクションシーンの構図も迫力ありです!
R.B.シルバはパキッとした絵の印象です。
細かい表情の描き分けが見事で、日本人好みで親しみやすい絵とも感じました。
『Powers of X』#1 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作後に読むべき邦訳アメコミ
本作後に展開されたのが『X-Men』Vol.5で、ライターは引き続きジョナサン・ヒックマン。
その1~6話をまとめたものが『X-MEN Vol.1:黎明』です。
本作は今後のX-MENの序章でもあり、本作で明らかにはならなかった伏線の数々が今後語られるはずです。
ジョナサン・ヒックマンのX-MENは、まだ邦訳本が出揃っておらず、僕も今後のストーリーは知りません(23年5月時点)。
アーティストは、レイニル・ユーがメインで、本作のR.B.シルバも1話だけ参加しています。
詳しい解説や感想はこちらの記事で。
まとめ:『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』の感想・あらすじ・解説
GOOD
・過去作を尊重した大規模で重厚なストーリー
・2人による質の高いアート
BAD
・ややドラマ性に欠ける
X-MENの物語はここから新たな展開を迎えます。
本作からX-MENの原作を読み始めてはいかがでしょうか!?
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは今回はこのあたりで。
最期まで読んでいただき、ありがとうございました!
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