多くのクリエイターが作り上げた良作
若干の説明不足は否めない
『X・オブ・ソーズ』 ©MARVEL ©Shogakukan-Shueisha Productions
こんちは!
サンドです。
今回は、X-MENシリーズの大作『X・オブ・ソーズ』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!
僕のプロフィールはこちらの記事で
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社 | 小学館集英社プロダクション |
ライター |
|
アーティスト |
|
収録タイトル |
|
あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式からの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
古代の戦争によって引き裂かれた国、アラッコとクラコア。二国の前に立ちふさがるのは、多元宇宙の中心点アザーワールドの支配者、女帝オパール・ルナ・サターナイン。
ミュータントたちは闇の軍勢を食い止めるために、彼女が主催する剣闘大会で勝利しなければならない……!
彼らはこの戦いに勝利し、世界を救うことができるのか!?『X-MEN Vol.1:黎明』『X-MEN Vol.2:戦雲』に続く、ミュータントたちの物語。ついに大型イベントが開幕!
引用元:小プロ作品ページ
どんな作品なのか
本作『X・オブ・ソーズ』は、X-MENの大型イベントであるX・オブ・ソーズ全23話をまとめたものです。
X-MENではよくあることですが、『X-Men』、『X-Force』、『New Mutants』などタイトルをまたいでイベントが進行します。
ジョナサン・ヒックマンの手掛けるX-MENシリーズの途中に当たるので、本作から読み始めないようにご注意を。
読むべき作品は後述します。
まず着目すべきは、本作のボリュームです!
全23話の厚さは伊達じゃなく、上下巻に分冊されてケースに入っております。
これは紛うことなく鈍器認定。
中身はこんな感じ。
もちろん解説書が中に挟み込まれています。
2冊を繋げるとマーク・ブルックスのアートが完成します。
もう片方も繋がるペペ・ララスのアートになってますので、確認してみてください。
厚さ比較。
なんと合計700ページ以上!
8,800円の値段だけ聞くと躊躇してしまいます…。
ただ、直近発売した『アベンジャーズ/ファンタスティック・フォー:エンパイヤ』は288ページで4,400円です。
本作は728ページで8,800円。
2倍の金額で2.5倍のページ数なら安くないですか!?(←安くはない)
『ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X』から伏線が張られていた、クラコアの歴史やアポカリプスとの関係が明らかになる重要な作品です!
タイトルの通り、10本の剣が物語のキーアイテムです。
『X-Men』Vol.5 #12 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
クラコアのミュータントに加え、アポカリプスの初代四騎士/フォー・ホースメン、オムニバースの女帝サターナインなどが登場します。
ライターやアーティストが多数参加しているのも見どころの1つです!
ジョナサン・ヒックマンがストーリーの大枠を作り、それぞれのライターが各話を肉付けしている感じです。
アーティストは、直近のX-MENの作品に携わってきたペペ・ララズ 、R.B.シルバ、レイニル・ユーらも参加しています。
他には『インビンシブル・アイアンマン:アイアンハート』のステファノ・カセッリや、カバーアートには『ソー:ゴッデス・オブ・サンダー』のラッセル・ドーターマンも参加しています。
本作前に読むべき邦訳アメコミ
本作を読むにあたって必読な作品は下記になります。
リンク先で解説・感想を書いています。
これら全てを本作のライターであるジョナサン・ヒックマンが担当しています。
この他に、アシェットの『マーベル グラフィックノベル・コレクション』42号『キャプテン・ブリテン:クルックド・ワールド』も読んでおくとなお良しです。
キャプテン・ブリテン、サターナイン、マッド・ジム・ジャスパーズなど、この作品で描かれたキャラが本作でも多数登場します。
本作の超重要なキャラであるサターナインと、キャプテン・ブリテンとの間に過去にどんなことがあったのかがこの作品で描かれています。
アメコミ界の巨匠アラン・ムーアが書いた唯一のマーベル作品でもあります。
ストーリーが直接繋がっているわけではないので、必読ではないです。
解説書でこの作品の詳細も触れられています。
しかし、この作品は字で追うものではなく、実際に読んで混沌っぷりを楽しむものです。
せっかく本作を読むのであれば、ぜひ目を通してほしい作品です!
本作の面白さと理解度もグッと増します。
こちらの記事で詳しい解説や感想を書いています。
また、本作で語られているキャプテン・ブリテン・コア全滅の様子は、『アベンジャーズ:タイム・ランズ・アウトⅢ』にて描かれています。
ただ、本作のために読む必要はないです。
作品の評価・感想
いや~、面白かった!
早々に事件が起き、その後テンポよく物語が進んでいきます。
序盤にオッカラの歴史が語られますが、全然理解できません笑。
物語が進むにつれて段々と状況が掴め、中盤で真相が語られます。
序盤の伏線も、終盤でしっかりと回収されます。
「なるほど、このためだったのか!」と唸りますね。
10本の剣を手に入れる過程も、やや長丁場に感じてしまうかもしれませんが、ライターごとに様々な切り口で描かれており、飽きが来ません。
大会本番も、全く予想のつかない展開で進みます。
サターナインの力が、何ができて何ができないのかが不明瞭でした。
「あの力をここで使えば?」というツッコミ所があります。
また、サターナインは何をどうしたいのかもわかりにくかったです。
一応最後に語られるは語られるのですが、もう少し詳しい説明が欲しかったところ。
アートは一人ひとり描き方がまるで違うので、とても楽しめました!
僕の好きなペペ・ララスやレイニル・ユーの画力は、もう言わずもがな。
『Hellions』のカルメン・カルネロは、線の強弱がついていて、細い線での描き込みが丁寧でした。
『Hellions』#5 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
『Wolverine』のビクター・ボグダノビッチは和テイストで、ミリペンで描いたような筆跡が特徴的でした。
『Marauders』#13のマテオ・ロリはちょっと画力低いですね…。
『X-Men』の14話は、ほとんど絵が使い回しで、このリーフがフルプライスだったらさすがにキレますね笑。
本作後に読むべき邦訳アメコミ
ストーリーは『X-MEN Vol.3:弔愛』へと続きます。
『X-Men』Vol.5の16~20話が収録されています。
ライターはもちろんジョナサン・ヒックマン。
『X-MEN Vol.1:黎明』で描かれたストーリーが進展します。
こちらの記事で詳しい解説や感想を書いています。
まとめ:『X・オブ・ソーズ』の総評
GOOD
・先が見えず、多彩な角度のストーリー
・バラエティーに富んだアート
BAD
・若干の説明不足
RECOMMEND
・X-MENを追っている人
大ボリュームでお腹いっぱいの作品でした。
クラコアに関する伏線が回収され、今後ストーリーがどう展開していくのかも楽しみです!
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは、今回はこのあたりで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント