名ライターが書いた唯一のマーベル作品
初心者向けではない
『キャプテン・ブリテン:クルックド・ワールド』 ©MARVEL ©Hachette Collections Japan
こんちは!
サンドです。
今回は、名ライターのアラン・ムーアが手掛けた『キャプテン・ブリテン:クルックド・ワールド』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!
僕のプロフィールはこちらの記事で
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社 | アシェット |
ライター | アラン・ムーア |
アーティスト | アラン・デイビス |
収録タイトル |
|
あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式からの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
キャプテン・ブリテンは、暗くゆがんだイギリスへと驚愕の冒険に出発した!
そこで彼は、現実をゆがめるマッド・ジム・ジャスパーズの狂気に遭遇し、恐ろしいヒーロー殺しのサイビオート、フューリーと戦わなければならない。
そして美しいサターナインと再び出会い、凶悪なスレイマスターと対決し、クレイジー・ギャングと戦い、さらにはウォードッグとスペシャル・エグゼクティブに追われることにも……。
最強のマーベルマナーでお届けするブリティッシュアクション&アドベンチャーだ!
引用元:本作裏表紙
どんな作品なのか
かつてイギリス市場向けのマーベルUKというブランドがありました。
本国の作品を再編集したものを発行していましたが、マーベルUKオリジナルの作品を作ることになり、生まれたのがキャプテン・ブリテンです。
1冊のコミックに、キャプテン・ブリテンの他にもデアデビルやスパイダーマンの作品が収録されていました。
本作『キャプテン・ブリテン:クルックド・ワールド』は、その中のキャプテン・ブリテンの物語だけをまとめたものです。
デアデビルは物語に全く関係ないのでご注意を笑。
1話が8ページなので、ページ数も普通のTPBとは変わらないです。
そんな本作に繋がるストーリーは『Marvel Super-Heroes』の377話から始まりますが、ライターが本作のアラン・ムーアに代わったのが387話からでした。
キャプテン・ブリテンが送り込まれたアース238のイギリスで、マッド・ジム・ジャスパーズの現実改変能力が発動したところから物語は始まります。
『Captain Britain』(TPB) ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
かなり中途半端な始まり方で、登場するキャラクターもマイナーなので、初心者の方にはお勧めしづらい作品です。
冒頭に1ページのあらすじはあるので、一応ある程度の把握はできますが…。
アメコミファンの方はアラン・ムーアの名を聞いたことがあるかもしれません。
後のDC作品『ウォッチメン』や『バットマン:キリングジョーク』を通じて、アメコミ界に多大なる影響を与えたライターです。
お恥ずかしながら、僕はDCの原作は追っていないので、どちらも未読なのですが…。
そんな巨匠アラン・ムーアがマーベルで書いた作品は本作のみ(『Miracleman』は、後に権利がマーベルに移っただけで、マーベルで書いたわけではない)なので、貴重なマーベルの邦訳本とも言えます。
アラン・ムーアの作品が読みたい人、異色な作品が好きな人にはオススメです!
アーティストは『アベンジャーズ:ハルク・ウェーブ!』のアラン・デイビス。
また、本作はアシェットの『マーベル グラフィックノベル・コレクション』42号に当たります。
シリーズの詳細はこちらの記事で。
本作前に読むべき邦訳アメコミ
本作直前の作品は邦訳されていないので、特にないです。
作品の評価・感想
まあまあ面白かった。
序盤からまさかの展開で、全く先が読めません。
そんな中でも、キャプテン・ブリテンのオリジンと経歴をなぞってくれたのはグッド。
「序盤から異色な展開だ」→「あれ?意外と普通のアメコミかも?」→「なんか段々凄い話になってきたぞ」と、読んでいると頭が混乱します笑。
マルチバースの要素も、うまい具合に物語に絡ませています。
カオスな展開が続きながらも、終盤はしっかりとストーリーをまとめ上げているのは流石ですね!
ただ、発想が奇抜で凄いとは思うものの、メッチャ面白いかと言われたら、そうでもないかなと。
マーリンというキャラがあるシーンで介入してきますが、何ができて何ができないのかが不明でした。
設定がややふわっとしている印象。
また、ヴィクセンの達成すべき目的やアーケードが放置されているのも気になりました。
アラン・デイビスのアートは自然な強弱のついた線で、安定した画力でした。
やや癖のある描き方もしていて、混沌とした物語にマッチしています。
魅せるべき箇所では、こだわった構図で迫力もありました。
『Captain Britain』(TPB) ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作後に読むべき邦訳アメコミ
キャプテン・ブリテンの邦訳は現状本作だけなので、特にないです。
まとめ:『キャプテン・ブリテン:クルックド・ワールド』の総評
GOOD
・先の見えない奇抜なストーリー
・世界観にマッチしたアート
BAD
・放置されたキャラ
アメコミ界でも大きな功績を残したライターの書いたマーベル作品なので、一読の価値はあるかと!
皆さんは、また違った感想を持たれるかもしれません。
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは、今回はこのあたりで。
お時間いだたき、ありがとうございました!
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