余波の大きいクロスオーバー大作
タイインでさらに広がる奥深さ
『シビル・ウォー』 ©MARVEK ©FURYU Corporation
こんちは!
サンドです。
今回は、マーベルユニバースに衝撃をもたらした『シビル・ウォー』のレビュー記事です。
「ここから読んでいいの?」
「オススメのポイントは?」
などの疑問を、邦訳アメコミ150冊を読んだ僕が解決します!
僕のプロフィールはこちらの記事で。
皆さんが購入される際の手助けとなれば幸いです。
ネタバレは一切ないので、ご安心を。
なお、リーフやオンゴーイングなどのアメコミの形式に関する説明は本記事では省いています。
もしわからない単語などがあったら、こちらの記事も参考にしてみてください。
収録タイトルやクリエイター
出版社:ヴィレッジブックス、アシェット
ライター:マーク・ミラー
アーティスト:スティーブ・マクニーブン
収録タイトル
- 『Civil War』#1(2006年7月)
- 『Civil War』#2(2006年8月)
- 『Civil War』#3(2006年9月)
- 『Civil War』#4(2006年10月)
- 『Civil War』#5(2006年11月)
- 『Civil War』#6(2006年12月)
- 『Civil War』#7(2007年1月)
あらすじ
内容を全く知らない状態で読みたい方は飛ばしてください。
どんなストーリーなのか少しは確認したい方は、こちらを開いてください。
公式サイトからの引用なので、結末に関するネタバレはありません。
世界を激震が襲った。
一つの悲劇をきっかけに合衆国政府は超人登録法を可決。
全てのスーパーヒーローに対し正体を明かすよう迫った。
登録法への対処を巡って二つに割れたヒーロー達はついに苦渋の決断を下す。
それは正義を志す者達が二手に分かれて相争うシビル・ウォー(内戦)への茨の道だった……。マーベルユニバースを、コミックスシーンを揺るがした問題作、マーベルコミックス最大のクロスオーバー大作、ついに邦訳なる!
君はどちらに付く?
引用:本書カバー見開き部分
どんな作品なのか
本作『シビル・ウォー』は、2006年に展開されたリミテッドシリーズ『Civil War』の1~7話をまとめたクロスオーバー作品です。
タイトルからもお察しの通り、映画『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』(2016年)の原案となった作品でもあります。
ヒーローの衝突を描いた本作は、以降の作品全体に影響を与える重要度!
このころのマーベル作品は、2005年から始まった『New Avengers』がメインで展開していました。
ただ、ストーリーが直結しているわけでもないので、本作は初心者の方でも楽しめます。
映画では、アベンジャーズを国連の監視下に置くソコヴィア協定をめぐっての対立でした。
原作ではヒーローを実名登録する超人登録法をめぐっての対立が描かれます。
キャプテン・アメリカとアイアンマンはもちろん、映画とは比べ物にならない数のヒーローやヴィランが登場します!
ちょっと特殊ですが、本作には3つのバージョンが存在します。
通常版の『シビル・ウォー』には、バリアントカバーのイラストが収録されています。
『シビル・ウォー【限定生産・普及版】』はバリアントカバーが収録されず、お求めやすい価格になっています(どちらも絶版しているので、大差ないですが)。
23年の10月4日に発売される『シヴィル・ウォー』は、アシェットの『マーベル グラフィックノベル・コレクション』の45号に当たります。
こちらは解説書が付いていません。
3つとも内容は変わらないので、好きなものを選んでください。
個人的には、解説書付きのほうが読みやすいと思います。
ライターは『ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト』のマーク・ミラー。
アーティストは『ニューアベンジャーズ:セントリー』のスティーブ・マクニーブン。
『Civil War』#3 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作前に読むべき邦訳アメコミ
本作の前日譚に当たるのが、『ロード・トゥ・シビル・ウォー』です。
『New Avengers Illuminati』、『The Amazing Spider-Man』の529~531話、『Fantastic Four』の536話と537話が収録されています。
本作の柱といえる超人登録法が以前から示唆されていたこと、本作での立場に至るまでに、トニー・スタークも努力をしていたことが明らかになります。
ライターは『New Avengers Illuminati』をブライアン・マイケル・ベンディスが、『The Amazing Spider-Man』と『Fantastic Four』をJ・マイケル・ストランジスキーが務めています。
ストーリーが面白く、本作の楽しみも増すので、ぜひ読んでほしいです!
本作と並行で読みたいタイイン
今回のクロスオーバーイベント、シビル・ウォーは、他作品でイベントに関連するストーリーを展開するタイイン作品が多数あるのも特徴です。
邦訳されているもので、なんと22冊もあります。
全部読む必要は全くないですし、本作と関連性が薄いものもあります。
ここでは、中でもおすすめの作品を紹介します。
本作の前後で読むというよりは、同時並行で読み進めていくのがオススメ!
本作の物語の深みがグッと増し、捉え方も変わってきます!
『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』
『ロード・トゥ・シビル・ウォー』から直結して、『The Amazing Spider-Man』532~538話が収録されています。
本作でピーター・パーカーはある行動に出ますが、そこに至るまでの葛藤が丁寧に描かれています。
また、『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』へと続く重要な作品でもあります。
ライターはJ・マイケル・ストランジスキーが継続。
『ファンタスティック・フォー:シビル・ウォー』
こちらも『ロード・トゥ・シビル・ウォー』から直結の、『Fantastic Four』538~543話が収録。
本作でのリード・リチャーズの立場をより深堀させ、メンバー間の意見の違いも丁寧に描かれます。
同じくライターはJ・マイケル・ストランジスキー。
『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』ともリンクしている箇所があります。
『ニューアベンジャーズ:シビルウォー』
本作の間、現アベンジャーズのメンバーはどこでどうしていたのか。
こちらはニューアベンジャーズシリーズを追いかけている人だけが読めばオッケーです。
ライターはブライアン・マイケル・ベンディス。
作品の評価・感想
面白かった!
開始直後に事件が発生し、その後もテンポよく物語が進んでいきます。
衝撃的な展開も各所に散りばめられていて、読んでいて飽きが来ないですね。
物語が進んでいくにつれて、キャラクターの考えが揺らいでいくのもリアルです。
クライマックスに向けての盛り上げ方も見事でした!
異なる意思や考え方が本気でぶつかり合うからこそ、熱量のある物語ができあがるのだと思いました。
ただ、本作だけではアイアンマンやスパイダーマンの言動に至るまでの、「なぜそうなったのか?」が抜けている部分もあります。
そのへんを補うのがタイイン作品ですね。
個人的には、スティーブ・マクニーブンのアートはあまり好みではないです笑。
絵が崩れている箇所がいくつかあり、そこまで画力が高くはないかなと。
インカーの問題かもしれませんが、線の強弱もイマイチですね…。
『Civil War』#1 ©MARVEL
※画像は原書で、本作は日本語です
本作後に読むべき邦訳アメコミ
アベンジャーズ
本作を受けて、アベンジャーズもキャップ派とアイアンマン派に分断してしまします。
キャップ派の物語は、『ニューアベンジャーズ:レボリューション』へ続きます。
『ニューアベンジャーズ:シビルウォー』の続編で、『New Avengers』の26~31話が収録されています。
アイアンマン派の物語は、新たに展開された『Mighty Avengers』1~6話を収録した『マイティ・アベンジャーズ:ウルトロン・イニシアティブ』へ続きます。
どちらも、ニューアベンジャーズシリーズを追いかけてきた人だけが読めば大丈夫です。
キャプテン・アメリカ
キャプテン・アメリカの物語は、『デス・オブ・キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム』へと続きます。
こちらは『Captain America』Vol.5の25~33話を収録しているのですが、22~24話を収録している『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』を読んでおいたほうがいいです。
もっと言うと、『Captain America』Vol.5の1~14話を収録した『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』を読むことを強くお勧めします笑。
まとめ
GOOD
・テンポよく進み、盛り上がるストーリー
BAD
・タイインなしでは物足りない箇所も
・所々の作画の粗
関連作品をたくさん書いてしまいましたが、本作自体は1冊で完結するので、気になったら本作だけでも読んでみてください!
他にも邦訳アメコミの感想を書いているので、アメコミカタログなるページも訪れてみてください。
邦訳アメコミの全体感を知りたい方にはこちらの記事もオススメです。
それでは今回はこのあたりで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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